甲賀 研一郎
教授
Researcher ID http://www.researcherid.com/rid/B-2635-2011
Google Scholar ID Kenichiro Koga
ResearchGate Publication List
略歴
- 客員教授,K.U. Leuven, Belgium 2010年2月
- 教授, 岡山大学, 2009-現在
- 准教授, 岡山大学, 2003 -2009
- 客員研究者 (JSPS Research abroad), Cornell University
(Dept. of Chemistry, Prof. B. Widom), 2001-2003 - 助教授, 福岡教育大学, 2000-2003
- 講師, 福岡教育大学, 1999-2000
- 日本学術振興会博士研究員, 1998-1999
- 博士研究員, University of Nebraska-Lincoln, 1996-1999 (Dept. of Chemistry, Prof. X.C. Zeng)
- 博士: 京都大学, 1996 (工学研究科)
- 修士: 京都大学, 1993 (工学研究科)
- 学士: 大阪大学, 1991 (基礎工学部)
主要論文
- The Hydrophobic Effect
B. Widom, P. Bhimalapuram, and K. Koga, Phys. Chem. Chem. Phys., 5, 3085-3093 (2003). - Freezing in one-dimensional liquids
K. Koga, J. Chem. Phys., 118, 7973-7980 (2003). - Solvation forces and liquid-solid phase equilibria for water confined between hydrophobic surfaces
K. Koga, J. Chem. Phys., 116, 10882 (2002). - Formation of ordered ice nanotubes inside carbon nanotubes
K. Koga, G.T. Gao, H. Tanaka, and X.C. Zeng, Nature, 412, 802-805 (2001). - First-order transition in confined water between high-density liquid and low-density amorphous phases
K. Koga, H. Tanaka, and X.C. Zeng, Nature, 408, 564-567 (2000). - PUBLICATION LIST
招待講演・海外国際会議での発表
- 疎水効果と水の相転移 (招待講演)
甲賀研一郎 (理論化学シンポジウム, 近江舞子, Sep. 12-14, 2004) - 疎水効果の熱力学と微視的模型 (招待講演)
甲賀研一郎 (立命館大学理工学研究所プロジェクト研究シンポジウム, 草津, Jan.15-16, 2004) - Phase transitions of quasi-one-dimensional and quasi-two-dimensional water (Invited talk)
K. Koga (International Symposium on "Physicochemistry of Water and Dynamics of Materials and the Earth --- Structures and Behaviors of the Thin Film Water ---", Tokyo Institute of Technology, Sep.13, 2003) - Model of freezing in one-dimensional liquids
K. Koga (88th Statistical Mechanics Conference: A Celebration of Elliot Lieb's 70th Birthday. Rutgers University, NJ. USA, Dec. 15-17, 2002) - How does water freeze inside carbon nanotubes? (Invited talk)
K. Koga (Horizons in Complex Systems, Messina, Italy, December 5-8, 2001) - Phase equilibria and phase transitions of water confined in Q2D and Q1D geometries (Invited lecture)
K. Koga (NATO Advanced Research Workshop ---New kinds of phase transition---, Volga River, Russia, May 24-28, 2001) - Phase behavior of water confined in a slit nanopore (Invited talk)
K. Koga, H. Tanaka (AIRAPT-17, Honolulu, Hawaii, USA, July, 25-30, 1999)
研究助成
- 平成16~18年度 科学研究費 若手研究(A) 「疎水環境下の水の相転移および疎水効果」 甲賀研一郎
- 平成13~15年度 日本学術振興会海外特別研究員 「疎水性効果と液液相転移に関する理論的研究」 甲賀研一郎
- 平成12~13年度 科学研究費 奨励研究(A)「ナノスケール空間内の水の相挙動と相転移ダイナミクス」 甲賀研一郎
共同研究・研究協力
- B. Widom, Cornell University, Ithaca, New York, USA
- J.O. Indekeu, KUL, Leuven, Belgium
- H. Tanaka, Okayama, Japan
研究内容についてひとこと
多数(無数)の分子からなる系ではじめて起こる現象(1個や2個の分子からなる系では決して観測されない現象)を理論的方法により調べています。圧 力一定のもと、水が特定の温度で凍ったり、沸騰したりすることを我々が不思議に感じないのは、それが身近な現象だからであって、理解するのが簡単なことだ からではありません。この例のように物質の相が別の相に突然(ある特定の温度や圧力を境にして)変化する現象は相転移と呼ばれるもので、統計力学の中心的 課題のひとつです。これまでの研究から、非常に狭い空間に閉じ込められた水が今まで実験では知られていなかった準一次元や準二次元の氷へと相転移を示すこ とがわかりました。今後の課題の一つは、準一次元系で観測された固体-液体間の相転移が真の一次相転移なのかどうかを明らかにすることです。
気体、液体、固体といった物質の状態はそもそも多数の分子からなる系でのみ定義されるものなので、それらの性質を分子間相互作用から説明するにはど うしても統計力学が必要です。なかでも液体状態は一般的に取り扱うのが最も難しく、したがって現在でも統計力学の重要課題です。そして近年、液体の性質の 理解に大きな役割を果たしているのが計算機シミュレーションという手法です。液体の性質、そして液体の中で起こる様々な物理/化学現象には興味深い課題が 山積みですが、それらを理解していくためにはほぼ例外なく、統計力学理論と計算機シミュレーションを有効に駆使することが必要でしょう。現在取り組んでい る問題の一つは、水の中に溶けた疎水性分子間に働く引力、いわゆる疎水性相互作用です。この問題の主役は、疎水性分子自体ではなく、それを取り巻く溶媒 (液体の水)が主役です。現在、解析的な結果の得られる格子模型とシミュレーションを用いてこの問題を調べています。
メッセージ
学部生、大学院生の方へ
化学と物理の垣根はありません。理論的研究では特にそうです。だれでも強い興味があれば必要な道具を揃えながら楽しむことができます。一定の成果が 出れば,国内,国外の学会で発表したり,共同研究で外国の大学などに行く機会もあります。